膀胱がんとは?原因や症状、治療方法について詳しく解説

膀胱がんとは?

膀胱がんとは、膀胱の内側を覆う尿路上皮(移行上皮)の粘膜より発生する悪性腫瘍で、その約90%以上は尿路上皮がんです。

膀胱がん患者の男女比率をみると、男性が女性の約3~4倍と、男性の方が罹患率は高いです。年齢階層別の罹患率は40歳未満の若い世代で低く、60歳以上では男女ともに高くなります。

Ⅰ.膀胱がんの原因

膀胱がんを発症する原因として、いくつか考えられることがあります。それぞれについて詳しく見ていきます。

1 喫煙

膀胱がんの最も多い危険因子は喫煙です
喫煙者は非喫煙者に比較して2〜5倍膀胱がんの発症リスクを高めると言われています。
また、喫煙に発症する膀胱がんは、非喫煙者と比較し、腫瘍
径が大きく、多発する傾向にあり、組織学的には高異型度の傾向があると報告されています。

2 職業性発癌物質への曝露

膀胱がんは特定の産業従事者が取り扱う化学物質が発癌に大きく寄与すると言われています。

Ⅱ.膀胱がんの症状

膀胱がんの主な症状には、血尿や頻尿、排尿時の痛み、残尿感などがあります。
血尿には、尿が赤色や茶色になり目でわかる肉眼的血尿と、顕微鏡で確認できる血尿があります。

がんが進行すると、尿が出にくくなったり、わき腹や背中・腰の痛み、足のむくみが出てくることもあります。

膀胱がんに特徴的なのは、痛みなどの他の症状を伴わない血尿です。

血尿が出ても、痛みがなく、数日で止まってしまうと受診せず、診断が遅れてしまう場合があります。

気になる症状が場合は、早めに受診することをおすすめします。

Ⅲ.膀胱がんの検査

尿検査・尿細胞診検査

尿に血液や癌細胞が含まれているかどうかを確認します。

超音波(エコー)検査

腫瘍の有無を確認するために行う検査です。
検査による痛みはなく、その場で確認ができます。

腫瘍の位置や形、臓器臓器の形や状態、周辺臓器との関係を確認することができますが、主要の位置や大きさによっては見づらいこともあり、診断がつきにくい場合は別の検査を取り入れます。

膀胱鏡検査(軟性鏡による内視鏡検査)

尿道よりカメラを挿入して膀胱内を観察し、腫瘍の有無、場所、大きさ、数、形を確認します。
膀胱がんの診断と治療方針を決定するために必ず行う検査です。

当院では、軟性ファイバースコープを使用しているため、検査に伴う痛みを少なく行うことができます。

CT検査

X線を使用し、がんの存在や広がりを見たり、リンパ節や他の臓器への転移を確認するための画像検査です。
短時間で詳しく映し出すことができ、さらに詳しく調べる場合には造影剤を使うこともあります。
膀胱がんでは、腎盂や尿管にもがんが併発していないか調べます。

当院では、最寄りの連携病院での検査予約を致します。
検査の結果は当院で院長が説明致します。

MRI検査

磁器を使用し、がんと正常組織を区別し映し出し、膀胱がんが筋層に浸潤しているかを判断します。
より詳しく調べるために造影剤を使うこ使うこともあります。

当院では最寄りの連携病院での検査予約を致します。
検査結果は当院で院長が説明致します。

 

Ⅳ.膀胱がんの診断と治療

膀胱がんの治療では、診断と治療を兼ね、まずは経尿道的腫瘍切除術(TUR-BT)を行います。尿道から膀胱内へ内視鏡を入れ、電気メスで腫瘍を切除する方法です。
腫瘍を病理検査し、深達度と病期、リスク分類を診断した上で、適切な治療を選択していきます。

当院では日帰りの
経尿道的膀胱腫瘍切除手術(TUR-BT)を行っております。

   当院での日帰り手術の説明はこちら 

(院長が日帰りで可能と判断した場合に限ります。)

 

<当院での手術のメリット>

・検査から手術まで迅速に対応します

・普段の生活を崩すことなく、日時はできる限りご希望に合わせて対応します

・安心した環境でプライバシーに配慮した手術が受けられます

 *手術を安心して受けていただくために、
術前に時間をかけてしっかりと説明します。

ご相談はこちらから

0568-27-3788

 

深達度

膀胱がんは膀胱の内側の粘膜に発生します。
がんが筋層まで及ぶかどうかで「筋層非浸潤性がん」と「筋層浸潤性がん」に区別します。

病期(ステージ)

病気はTNMの3種のカテゴリーで決定します。
T:がんの深達度
N:骨盤内のリンパ節への転移
M:離れた臓器たリンパ節への転移の有無
~日本泌尿器科学会 深達度の図  参照

筋層非浸潤性がんのリスク分類

筋層非浸潤性がんは、病変の数や大きさ、深達度、異型度、上皮内がん(CIS)を併発しているかどうかなどにより、低リスク群、中リスク群、高リスク群、超高リスク群に分類されます。
異型度とは、組織の構造や細胞の形が正常なものと比較し、どの程度異なっているかにより、低異型度(low grade)、高異型度(high grade)に分けられます。

治療の選択

治療法は、がんの進行の程度に応じた標準治療を基本として、本人の身体の状態、生活環境や本人の環境や本人の希望を交えて、患者さまとともに決定します。

<内視鏡的治療 TUR-BT>

尿道から膀胱内にカメラを挿入し、電気メスで腫瘍を切除する方法です。
当院では脊椎尿道から膀胱内にカメラを挿入し、電気メスで腫瘍を切除する方法です。
筋層非浸潤性がんの場合はこの治療でがんを切除できることがあります。
再発、または筋層浸潤や進展のリスクが高いと判断された場合は、筋層にがんがあるか判断がつかない場合には、再度この治療を行うことがあります。

<膀胱内注入療法>

TUR-BT後に、筋層非浸潤性がんの再発や進展を予防する目的で、膀胱内に抗がん剤やBCG(ウシ型弱毒性結核菌)を注入する療法です。
尿道より、カテーテルを通し、薬剤を注入します。
薬剤の選択、治療回数はリスク分類などにより検討します。
副作用として、頻尿、排尿時痛、血尿、発熱の症状が出ることがあります。

<外科手術>

転移のない筋層浸潤性膀胱がんでは、膀胱をすべて取り除く手術(膀胱全摘出術)を行います。
膀胱を切除するため、尿を体の外に出す経路をつくる尿路変更変更術も行います。
近年では、手術用ロボット「ダ・ヴィンチ」を用いたロボット支援下での手術を行う施設もあります。

1.膀胱全摘除術

膀胱内摘除術は、男性の場合、膀胱・前立腺・精嚢・遠位尿管と骨盤内のリンパ節を摘出します。
また、尿道に再発リスクが高い場合は尿道も切除します。
女性の場合、膀胱・子宮・膣の一部・遠位尿管と尿道を摘出し、骨盤内のリンパ節を摘出します。

2.尿路変向術

膀胱を全摘した場合、尿を体へ出すための通り道を作成する手術が行われます。
尿路の変更術には回腸道管増設術、新膀胱増設術、尿管皮膚ろう増設術などがあり、がんの位置や全身の状態や生活の状況を考慮し決定します。

ⅰ.回腸導管増設術

小腸(回腸)の一部を切り取り、左右の尿管とつなぎ、腹壁に固定して尿の排出口(尿路ストーマ)とする方法です。
ストーマからは断続的に排尿されるため、尿をためるための装置(採尿袋)を取り付けます。

ⅱ.自排尿型新膀胱増設術

小腸または大腸の一部を切り取り、左右の尿管とつなぎ合わせ、膀胱の代わりとし、左右の尿管と尿道をつなぐ方法です。
尿道から尿を出せることが特徴ですが、排尿のコツを身につける必要はあります。
また、手術は複雑で身体への負担が大きく、尿道に再発するリスクが高い場合は適していません。

ⅲ.尿管皮膚瘻

尿管を直接、腹壁に固定し、尿の排出口(ストーマ)とする方法です。
ストーマからは断続的に排尿されるため、尿をためるための装具(排尿袋)を取り付けます。
また、身体への負担が少ないため、高齢者や合併症を持つ方に行われることが多い方法です。

<放射線治療>

膀胱がんでは標準治療とされていませんが、筋層浸潤性膀胱がんで膀胱の温存を希望する場合や、全身から手術が困難である場合に、内視鏡的治療や薬物療法と組み合わせて行うことがあります。
また、がんの進行に伴う膀胱出血や転移による骨の痛みの症状を緩和する目的で行われることもあります。

<薬物療法>

転移や再発したがんや、進行し切除不能の膀胱がんに対し、薬物療法を行います。
薬物体内に取り入れ、がんの増殖を抑えたり、成長を送らせます。
膀胱がんでは、細胞障害性抗がん剤や免疫チェック阻害剤を使用します。